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Tuned by Alpineに込められた想い

2023.09.15

汎用ではなく、車種専用という考え方。

クルマのアフターパーツの世界には「汎用」という言葉がある。汎用、すなわち広くさまざまな車種に装着できる、あるいは使用できるように開発された製品だ。さまざまなクルマに対応していると聞くと利便性が高いことのように思えるが、ユーザー目線からすると実はそうでもない。ユーザーにとっては自分のクルマに装着、使用できればよく、他車に対応しているかどうかはほぼメリットにならない。むしろ汎用品ならではのデメリットもある。一昔前のカーナビゲーションは、その最たる例だった。たとえば愛車に汎用のカーナビを装着すると、インパネから製品のフェイスが突き出てしまったり、あるいはインパネと製品の間に隙間が空いたりと、純正品に比べて汎用品はあからさまにフィット感がなかった。そういう時代が長らく続いていて、それが当たり前としてユーザーに受け止められていた。

そのようなアフターパーツを取り巻く状況の中に、一石を投じたのがアルパインの「車種専用」という考え方だ。「汎用」に対して「車種専用」。すなわちある車種専用に開発された製品ということだ。アルパイン初の車種専用製品は、スピーカーを装着するための小さなバッフルボードだった。バッフルボードとは、アフターパーツのスピーカーを車体に装着する際に使用する製品。たとえばユーザーが純正のスピーカーをアルパインのスピーカーに換えようとした時に、バッフルボードがその車種専用の形状になっていれば後加工する必要がなく、理想的なフィッティングと音質の向上を手軽に実現できる。この車種専用バッフルボードが音にこだわりを持つお客様の間で評判となり、アルパインは装着できる車種を次々と増やしてリリースしていった。

次に転換期となったのが、「X08プリウスパッケージ」だ。これは2009年5月に登場した30系と呼ばれる3代目プリウス専用に開発したもので、アルパインの当時の新製品カーナビであったX08を中心に、その本体を美しくインパネに装着できるパーフェクトフィットや、純正のステアリングリモコンが使えるキットをパッケージにした。これが爆発的に売れたのだが、その大きな理由はステアリングリモコンへの対応であった。実は当時の汎用カーナビのほとんどは、プリウスに標準装備されているステアリングリモコンに対応しておらず、これがユーザーにとって大きな不満だった。それはそうだろう。汎用のカーナビを選んだら、せっかくステアリングに付いている数々のスイッチがすべてお飾りになってしまうのだから。

ちなみにこのX08プリウスパッケージの発売は2009年7月7日であり、社内では「七夕プリウス」と呼ばれた。30系プリウスの登場からわずか2ヶ月後。ユーザーのニーズギャップをいち早く理解したアルパインは、できるだけ早くこの車種専用パッケージを市場に届けようと開発を急いだのである。そのかいもあってX08プリウスパッケージは発売後まもなく当時の価格比較サイトの口コミで話題となり、プリウスオーナーから一気に注目を集めることになった。「車種専用は、お客様にとって大きな価値がある」。アルパインが、そう確信した出来事でもあった。

 

 

Tuned by Alpineは、車種専用チューニングの証。

その後、アルパインの車種専用のこだわりは、ハードだけでなくソフトにまで広がっていった。そして、こうした数々のアルパインならではの車種専用チューニングを、大きなひとつの価値としてお客様に認識していただくために「Tuned by Alpine」と名付けた。

Tuned by Alpine(チューンド バイ アルパイン)には、さまざまなチューニングの種類があるが、その筆頭は何と言っても「パーフェクトフィット」だ。これはたとえばカーナビなどの製品をクルマに装着する際に使用するパーツだが、車種ごとに精巧に造形しており、インパネに製品を美しくフィットさせる。さらに車種によってはシルバーフィニッシャーやクリスタル照光キーなどを採用し、愛車の上質感をより高める役目もある。

「オープニング画面」は、イグニッションオンとともにカーナビが起動する際に、そのクルマの画像やアニメーションをモニターに表示し、さらにはオリジナルのサウンドでオーナーを迎える演出だ。これは車種ごとのイメージに合わせて造り込んだ、凝った演出になっている。

「サウンドチューニング」は、熟練のサウンドマイスターが車種ごとの音響特性を細かく分析し、それぞれで最適なサウンドを奏でられるように調整したチューニングデータをカーナビに格納したものだ。そのほか、安心かつ的確にバックできるよう車種ごとに正確なガイド線を表示する「カメラガイド線チューニング」や、車両の長さ・高さ・幅といった車種個別の情報をインストールした「車種情報チューニング」など、チューニングの範囲は多岐に渡る。

こうしたチューニングが施されたアルパインのカーナビには、オープニング画面の下部に「Tuned by Alpine」と表示される。Tuned by Alpine、それはアルパインによる徹底した車種専用チューニングの証なのだ。
 

 

ニーズギャップをいち早く掴む、それがアルパイン。

Tuned by Alpineが生まれた背景には、ニーズギャップに対してのアルパインの強い意識がある。お客様が求めているモノ・コトは何か。常にお客様視点で考える。そしてニーズギャップがあれば、いち早く解消する。そうした意識が、アルパインの社員のひとりひとりに根付いている。

たとえば前述した、カーナビとインパネとのフィッティング。カーナビがインパネから前に突き出していたり、隙間が大きく空いていたり…。「後付け感」と呼ばれる言葉があったほど、汎用品のカーナビは装着が不格好で、それが当たり前であった。しかしお客様視点で考えれば、ぴったりと美しく装着されていたほうが嬉しいに決まっている。サウンドもしかり。クルマの車内空間は一車種一車種で異なるし、スピーカーの特性も取り付け位置もさまざま。チューニング次第で、よりいいサウンドが聴けるのなら、そのほうがいい。車種ごとにチューニングしていくとなると開発には多大な時間がかかるが、お客様のニーズに応えられるのなら手間は惜しまない。それがアルパインの考え方だ。

クルマは進化し続けるプロダクトだ。もちろんその関連製品も、時代とともに求められるものが変わってくる。しかしどんなに時代が変わろうとも、お客様のニーズと市場の製品の間には必ずギャップがある。そのギャップをいち早く掴み、解消し、喜ばれる製品を世に送り出す。それこそがアルパインの得意とするところであり、ブランドにとって新しいストーリーが生まれる瞬間でもあるのだ。