近年、自動車の盗難被害が高度化・巧妙化しており、従来の防犯対策では防げないケースが増えています。
特に注目されているのが「CANインベーダー」と呼ばれる最新の盗難手口です。この手法は、高級車を中心に被害が急増しており、警察庁も注意を呼びかけています。
そこで、今回は、CANインベーダーの仕組みとその背景にある車両の電子制御システム(CAN通信)の脆弱性、さらに実際に有効とされる対策方法について詳しく解説します。
CANインベーダーとは、「Controller Area Network(CAN)」と呼ばれる車両の通信システムを悪用した盗難手口のことです。
CANは、エンジン、ブレーキ、ドアロック、イモビライザー、ライトなど車両のさまざまな電子制御ユニット(ECU)を相互に接続し、制御や情報のやり取りを可能にする内部通信網です。
CANインベーダーでは、犯人が車体の一部を破壊してCAN通信ラインに不正アクセスし、車両をあたかも正規のキーがあるかのように誤作動させてロックを解除・エンジンを始動させることができます。
2020年代に入り、CANインベーダーの手口はトヨタ・レクサス・日産・ホンダなどの高級SUV・ミニバンで特に多く報告されています。
中でもランドクルーザー、アルファード、ヴェルファイア、プリウスといった人気車種は狙われやすく、国内のみならず海外転売も視野に入れた組織的な窃盗団の存在が指摘されています。
警察庁の発表によれば、CANインベーダーによる盗難は従来のリレーアタックやキー複製を凌駕する勢いで拡大しており、令和5年には全国で数百件規模の被害が確認されました。
現代の車両に欠かせない「CAN通信」は、各電子制御機器をつなぐ便利なシステムですが、その構造には重大な脆弱性も潜んでいます。CANインベーダーは、この通信網に不正にアクセスし、スマートキーなしで車を乗っ取る手口です。その仕組みを解説します。
CAN通信は、1980年代から車両の電子制御技術向上とともに採用が進んできました。各ECUが「CANバス」と呼ばれる共通通信網を通じて情報をやり取りしており、たとえばスマートキーでドアを開けた際には「ドアを解錠せよ」という命令がECUに送られます。
この仕組みは非常に便利ですが、外部からCANラインに直接アクセスできれば、ECUに対して任意の命令を送ることも可能になるという脆弱性があります。
CANインベーダーでは、犯人がバンパー裏やフェンダー内のハーネス部に特殊な装置を接続し、以下のような操作を行います。
1.車両に物理的に接近
2.CANラインに不正接続
3.擬似的なスマートキー信号の送出
この過程はわずか1〜2分で完了することもあり、防犯カメラがあっても発見・逮捕が難しいケースがほとんどです。
CANインベーダーによる車両盗難は、従来の防犯対策では通用しない高度な手口です。しかし、適切な防犯措置を講じることで、被害リスクを大幅に軽減することができます。
ここでは、CANインベーダーに対して有効とされる3つの主要な対策を、実例や導入時のポイントとともに詳しく解説します。
まず基本となるのが、外部から目に見える「物理的なロック装置」の使用です。
CANインベーダーは車両の電子システムを乗っ取ってエンジンを始動させる手法ですが、車体そのものが物理的に動かせなければ犯行は困難になります。
【おすすめの装置と選び方】
・ステアリングロック(通称ハンドルロック)
・ホイールロック(タイヤロック)
注意点としては、安価で簡単に破壊される製品もあるため、信頼できるメーカーの高強度品を選ぶことが重要です。防犯性と利便性のバランスを考え、日常的に取り外ししやすい構造かも確認しましょう。
近年、CANインベーダー専用に設計された高度なカーセキュリティシステムが登場しています。
これらは車両のエンジン制御やドアロックシステムとは独立して作動するため、たとえCANラインが不正操作されても、セキュリティの「第二の壁」として機能します。
【代表的な後付けセキュリティ装置】
・Grgo(ゴルゴ)シリーズ
・VIPER(バイパー)
・AUTHOR ALARM(オーサーアラーム)
取り付けには専門知識が必要なため、信頼できる認定取扱店での施工を強くおすすめします。また、最新車両への適合状況や将来的なソフトウェアアップデートにも対応しているかを確認することが重要です。
万が一車両が盗まれてしまった場合でも、迅速な対応ができるように、GPSトラッカーを車内に隠して設置することも重要な対策です。
【おすすめのGPS装置の特徴】
・リアルタイム位置追跡
・バッテリー内蔵型・自立型
・ジオフェンス機能
GPS装置は隠して設置することが肝心です。ダッシュボードやシート下など、窃盗犯にすぐ発見されにくい場所を選びましょう。あえて「ダミー装置」と「本物」を2つ設置するなどの工夫も有効です。
CANインベーダーは、車両の高度化に伴って生まれた新たな盗難手法であり、従来のリレーアタック対策やキー管理だけでは防ぎきれない点が大きな脅威です。
高価な防犯装置だけに頼るのではなく、視覚的な抑止・物理的な障害・電子的なセキュリティの三層構えで対策を講じることが重要です。
被害に遭ってからでは遅いため、少しでも不安がある方は、セキュリティショップへの相談や対策の見直しを早急に行いましょう。
自分の車両の弱点を知り、適切な対策を施すことが、愛車を守る最善の方法です。
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この記事を書いた人
アルパイン マーケティング
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