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CANインベーダーとは?
最新の車両盗難手口の仕組みと有効な対策を徹底解説

2025.07.29
愛車見守り
CANインベーダー被害のイメージ

近年、自動車の盗難被害が高度化・巧妙化しており、従来の防犯対策では防げないケースが増えています。

特に注目されているのが「CANインベーダー」と呼ばれる最新の盗難手口です。この手法は、高級車を中心に被害が急増しており、警察庁も注意を呼びかけています。

 

そこで、今回は、CANインベーダーの仕組みとその背景にある車両の電子制御システム(CAN通信)の脆弱性、さらに実際に有効とされる対策方法について詳しく解説します。

 

CANインベーダーとは?|概要と被害の現状

CANインベーダーとは、「Controller Area Network(CAN)」と呼ばれる車両の通信システムを悪用した盗難手口のことです。

CANは、エンジン、ブレーキ、ドアロック、イモビライザー、ライトなど車両のさまざまな電子制御ユニット(ECU)を相互に接続し、制御や情報のやり取りを可能にする内部通信網です。

 

CANインベーダーでは、犯人が車体の一部を破壊してCAN通信ラインに不正アクセスし、車両をあたかも正規のキーがあるかのように誤作動させてロックを解除・エンジンを始動させることができます。

 

被害が拡大している車種

2020年代に入り、CANインベーダーの手口はトヨタ・レクサス・日産・ホンダなどの高級SUV・ミニバンで特に多く報告されています。

中でもランドクルーザー、アルファード、ヴェルファイア、プリウスといった人気車種は狙われやすく、国内のみならず海外転売も視野に入れた組織的な窃盗団の存在が指摘されています。

 

警察庁の発表によれば、CANインベーダーによる盗難は従来のリレーアタックやキー複製を凌駕する勢いで拡大しており、令和5年には全国で数百件規模の被害が確認されました。

 

なぜCANインベーダーが可能なのか?|仕組みと脆弱性

現代の車両に欠かせない「CAN通信」は、各電子制御機器をつなぐ便利なシステムですが、その構造には重大な脆弱性も潜んでいます。CANインベーダーは、この通信網に不正にアクセスし、スマートキーなしで車を乗っ取る手口です。その仕組みを解説します。

 

CAN通信の基本構造

CAN通信は、1980年代から車両の電子制御技術向上とともに採用が進んできました。各ECUが「CANバス」と呼ばれる共通通信網を通じて情報をやり取りしており、たとえばスマートキーでドアを開けた際には「ドアを解錠せよ」という命令がECUに送られます。

 

この仕組みは非常に便利ですが、外部からCANラインに直接アクセスできれば、ECUに対して任意の命令を送ることも可能になるという脆弱性があります。

 

犯人の手口

CANインベーダーでは、犯人がバンパー裏やフェンダー内のハーネス部に特殊な装置を接続し、以下のような操作を行います。

 

  • 1.車両に物理的に接近

    駐車中の車両に近づき、ドライバー側フェンダーやバンパー裏の配線にアクセス。
  • 2.CANラインに不正接続

    配線に小型デバイスを取り付け、CANバスに信号を送信。
  • 3.擬似的なスマートキー信号の送出

    スマートキーが存在すると車両に誤認させ、ロック解除・エンジン始動を実行。

 

この過程はわずか1〜2分で完了することもあり、防犯カメラがあっても発見・逮捕が難しいケースがほとんどです。

 

CANインベーダーに有効な防犯対策とは?

CANインベーダー被害のイメージ

 

CANインベーダーによる車両盗難は、従来の防犯対策では通用しない高度な手口です。しかし、適切な防犯措置を講じることで、被害リスクを大幅に軽減することができます。

ここでは、CANインベーダーに対して有効とされる3つの主要な対策を、実例や導入時のポイントとともに詳しく解説します。

 

1.ステアリングロックやタイヤロックなどの“物理的防御”の徹底

まず基本となるのが、外部から目に見える「物理的なロック装置」の使用です。

CANインベーダーは車両の電子システムを乗っ取ってエンジンを始動させる手法ですが、車体そのものが物理的に動かせなければ犯行は困難になります。

 

【おすすめの装置と選び方】

 

  • ステアリングロック(通称ハンドルロック)

    T字型やバー型の製品が主流で、ハンドルの回転を物理的に制限します。目立つ赤や黄色の製品は窃盗犯に「手間がかかる車」と思わせる心理的効果もあり、犯行抑止力が高まります。
  • ホイールロック(タイヤロック)

    タイヤに直接取り付け、回転を物理的に止める装置。特に屋外駐車で長時間動かさない車に有効です。

 

注意点としては、安価で簡単に破壊される製品もあるため、信頼できるメーカーの高強度品を選ぶことが重要です。防犯性と利便性のバランスを考え、日常的に取り外ししやすい構造かも確認しましょう。

 

2.CANインベーダー対応型のカーセキュリティシステムを導入する

近年、CANインベーダー専用に設計された高度なカーセキュリティシステムが登場しています。

これらは車両のエンジン制御やドアロックシステムとは独立して作動するため、たとえCANラインが不正操作されても、セキュリティの「第二の壁」として機能します。

 

【代表的な後付けセキュリティ装置】

 

  • Grgo(ゴルゴ)シリーズ

    国産ブランドで信頼性が高く、CAN制御に連動しない独立型イモビライザーを搭載。ドア開閉・エンジン始動に加えて、ジャッキアップや衝撃なども検知可能。
  • VIPER(バイパー)

    アメリカ発のハイエンドセキュリティ。スマートフォンと連携して遠隔操作や警報確認も可能。オプションでCANバスアタック対策機能も搭載。
  • AUTHOR ALARM(オーサーアラーム)

    ロシア発祥で、スマートキーと連携せずにPINコード(例:ステアリングスイッチの特定操作)でのみエンジンを始動させる仕組み。CANインベーダーでも突破困難。

 

取り付けには専門知識が必要なため、信頼できる認定取扱店での施工を強くおすすめします。また、最新車両への適合状況や将来的なソフトウェアアップデートにも対応しているかを確認することが重要です。

 

3.GPS追跡装置の設置と監視体制の構築

万が一車両が盗まれてしまった場合でも、迅速な対応ができるように、GPSトラッカーを車内に隠して設置することも重要な対策です。

 

【おすすめのGPS装置の特徴】

 

  • リアルタイム位置追跡

    専用アプリやPCから、車両の現在位置・走行履歴を確認可能。
  • バッテリー内蔵型・自立型

    車両のバッテリーが切断されても位置情報を送信し続けるタイプが望ましい。
  • ジオフェンス機能

    あらかじめ設定したエリアを車両が出入りした際にスマートフォンへ通知される機能。盗難直後の把握に効果的。

 

GPS装置は隠して設置することが肝心です。ダッシュボードやシート下など、窃盗犯にすぐ発見されにくい場所を選びましょう。あえて「ダミー装置」と「本物」を2つ設置するなどの工夫も有効です。

 

まとめ

CANインベーダーは、車両の高度化に伴って生まれた新たな盗難手法であり、従来のリレーアタック対策やキー管理だけでは防ぎきれない点が大きな脅威です。

高価な防犯装置だけに頼るのではなく、視覚的な抑止・物理的な障害・電子的なセキュリティの三層構えで対策を講じることが重要です。

 

被害に遭ってからでは遅いため、少しでも不安がある方は、セキュリティショップへの相談や対策の見直しを早急に行いましょう。

自分の車両の弱点を知り、適切な対策を施すことが、愛車を守る最善の方法です。

 

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この記事を書いた人

アルパイン マーケティング

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法人向けの車両位置情報管理システム【Where Mobi】
愛車の追跡・盗難対策【MAMORUCA】
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